【練習用台本】紙風船(岸田國士・全文)
岸田國士の短編戯曲『紙風船』を、朗読・読み合わせ用の練習台本として全文掲載しています。
若い夫婦の他愛ない会話の中に、沈黙・倦怠・すれ違いなど、声の微細な演技が求められる名作です。
抑制された感情、空気感のズレ、声の間などを意識してご活用ください。
※岸田國士(1954年没)の作品につき、現在は著作権切れ・パブリックドメインのため掲載が可能です。
【登場人物】
男
女
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男 (新聞を読んでいる)
……今日は、なんだか、静かだな……。
女 そう?
男 うん……雨が降りそうだ。
女 ……洗濯物、取り込んでおいた方がいいかしら。
男 うん……そうだな。
(しばらく沈黙)
女 あなた……お茶でも淹れましょうか?
男 いや、まだいいよ。
女 ……そう。
(また沈黙)
男 ……この間、君が買った花……もう枯れたか?
女 ええ。昨日、捨てたわ。
男 ……そうか。
(外で子供の声)
女 賑やかね……向かいの家の子かしら。
男 ああ……そうかもしれん。
(紙風船が庭に飛んでくる)
女 あら、紙風船……。
男 誰か、飛ばしたのかな。
女 ……きれいね。
男 ……うん。
(女、紙風船を手にとって見つめる)
女 ……こういうの、子供の頃、よく遊んだわ。
男 ……そうか。
(沈黙)
女 ……あなた、どこか行きたいところ、ある?
男 別に……君は?
女 ……ない。
(しばらく沈黙)
男 ……お茶、淹れてくれるか?
女 ええ。
(女、立って奥へ入る)
男 (独り言のように)
……風船……どこから飛んできたんだろうな……。
(終)
※本台本は練習用として自由にご使用いただけますが、商用利用・転載はご遠慮ください。朗読・読み合わせなどにご活用ください。