いびつなままで、主役になれ──偏りは、個性の原石だ。

誰かを傷つけないように、嫌われないように、
「ちゃんとした自分」でいようとがんばってきた。

でもその“正しさ”が、ふとした瞬間、
自分をいちばん苦しめている気がしたことはありませんか?

偏りやクセ、いびつな自分──
それを恥ずかしいと思っていたのは、自分自身だったのかもしれない。

この文章は、「自分らしさ」とどう向き合うか、迷ってきたあなたへ。

一つの視点として、読んでもらえたらうれしいです。


いびつさ、どうにもならない偏り、隠そうとしても漏れ出てしまう癖。

それが実は、個性であり、面白さであり、魅力の原石なんよね。

哲学者・中島義道さんはこう言ってる。

「“正しさ”はときに、暴力である。」

まわりの空気に合わせること。波風立てないように、常識の範囲に収まること。

それを「正しさ」と思ってがんばってきたけど──
気づけば、自分の“いびつなところ”を削りすぎて、
ほんまの自分がどこにおるんかわからんようになってた。


人前では気を遣うくせに、好きなものには異常なほど偏ってしまう。
そんな自分に、どこか矛盾を感じて悩んだこと、ありませんか?

世の中は「どっちかにせえ」ってうるさいけど、ほんまはどっちもあってええねん。

偏愛こそが魅力。でも、偏愛だけで生きてるとしんどい。
のめり込むのは素敵なこと。でも、それが社会と摩擦を起こすと、ほんまにツラいんよね。

じゃあ、無難な自分はどうなん?っていうと、それも立派な資質や。
空気を読む力、調和する力、それって鎧でもあり、優しさでもある。

両方ある。それでええ。
大事なんは、「どっちか」やなくて、「どう扱うか」なんやと思う。


劇団にいると、クセの強い人によう出会う。

黒ペン一本で、妖怪ばっか描いてる人。
石原プロダクションに入りたくて、本社に乗り込んだ人。
ここでは書けへんようなバイトしてる人もいた。

一見、社会不適合。でもね、彼らには共通してあるものがあった。

それは、どうしようもないほどの純粋さ。

不器用なほどまっすぐで、自分の中の“衝動”を信じて動いてる。
私、そういう人に心惹かれてしまう。だって、まるで映画の主人公みたいやから。

私も…そうやって生きてきた。

声紋分析のソフトに感動して、開発者の柊木さんの動画を見た瞬間、
「この人に会わなあかん!」って思った。そのまま連絡して、プレゼン相手に「売ってください!」って直談判。

気に入ったら猪突猛進。ずっと子どものまま。

学生時代もそうやった。ある先生に「あなたは間違っています」と訴えたことがある。
怖かった。でも、言わずにいられなかった。
そしたら、クラス全員の前でその先生が謝ってくれた。

自分の中の違和感を、ちゃんと信じて伝えたら、届くこともある。
それを知ったとき、「このクセのままで、生きていいんや」と思えた。


でもね、ずっとラクだったわけじゃない。

嫌われまいとすることも、
誰かを傷つけまいとすることも、
そういう特性が自分にはある。

でも、それが自分を苦しめているかもしれないと気づいたとき──
やっと「私は何を最優先に生きたいのか」を考えられるようになった。

高校までは、みんな同じ道を歩いてるような感覚がある。
でも大人になると、進学・就職・結婚…道はバラバラになる。

仲良しこよしだったはずの人たちも、自分の人生に集中しはじめる。
そのときふと気づくんよ。

人の期待なんて、勝手に気にしてたのは自分やったんやな、って。

外向性の強い相手が、良かれと思ってズカズカ入ってくることもある。
悪気はない、むしろええヤツや。でも、振り回されることはない。

自分がどうしたいか。どうしたくないか。
それが、ちゃんと立てられたら、大丈夫や。


ヘルマン・ヘッセの『デミアン』には、こんな言葉があるんです。

“鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようとするものは、一つの世界を壊さねばならない。”

自分の偏り、自分だけの世界──
それを生きるには、今の「普通」を一回壊す勇気がいる。

でもそれは、わがままなんかじゃない。
自分という物語を始める儀式なんや。


「自分をデザインする」って、そういうことなんやと思う。

偏りを否定せず、かといって振り回されるだけでもなく、
自分の中に基準を持って、時にグラデーションのように変化しながら、
でも、一本芯は通ってる──そんな自分でいたい。

表面的に合わせるだけの“フリ”は、ほんましんどい。
使い分ける力と、芯を持つことは、両立できるんや。

とんがるときもあれば、淡くにじむときもある。
その全部が「私」なんやと思えたら、ちょっと自由になれる。

だから私は思うんです。

いびつでええ。
まっすぐでなくてもええ。
でも、“私”として生きてることに、自信を持っていい。

それが、私の物語です。

関連記事